筋肉は単に縮むだけの主動筋と、伸ばされすぎないように反対側で縮む拮抗筋でお互いを引っ張り合っています。肘を90度に曲げてくださいと言われても主動筋である上腕二頭筋は縮むだけなので大した負荷なく行えますが、肘を90度に保ったままにしてくださいと言われると、拮抗筋である上腕三頭筋との引っ張り合いになります。このように日常生活でも無意識に起こっており、バランスを取り合うために姿勢の維持には欠かせないものです。
しかし、デスクワークなどで座りっぱなし、立ち仕事で立ちっぱなし・歩きっぱなし、といった長時間同じ姿勢が続いてしまうと主動筋と拮抗筋のバランスは崩れてしまいます。スマートフォンの画面を見る姿勢でいると、顔が下を向いているので首が前に倒れます。この時主動筋は首の前面にある筋肉で、拮抗筋は首の後面にある筋肉です。後面の筋肉は頭が前に行き過ぎないように縮もうとしていますが、頭は体重の10%の重さがあるため50kgの方でも頭部だけで5kgがあるので、ちょうどボウリング球を落ちないように支え続けている状態になります。この負荷が長時間かかると筋肉にも乳酸という疲労物質が溜まることで疲れ、血流が悪くなるとこわばったりだるさや重さを感じ、筋肉が固くなります。これが「こり」です。